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最高の戦略教科書 孫子


『最高の戦略教科書 孫子』

孫子は時代やジャンルを超えて、名勝負師や経営者の座右の書になり続けてきた古典です。では一体何がそれほどまでに卓越して不滅の名著となり得たのでしょうか?

戦争は国家の重大事であって、ポイントは「致命傷になるか否か」「やり直しができるかどうか?」細心な検討を加えなければいけません。

やり直しの利かない勝負、だからこそ重大事。

そもそも周王朝が開かれた頃、国の数は230以上あったと言われています。次々と淘汰され500年以上かけて秦一か国に収斂されていきます。 目の前の敵以外にもライバルが数多く、下手に1対1の戦いで泥沼に陥ると、戦力や国力が消耗してたとえ勝ったとしても、次が続かなくなる。

負けてもダメ、勝っても擦り減ってはだめ。 こんな場合、最初から戦いに逸ってしまえば、体力を消耗して早々と脱落してしまうことは明らかです。ですから、最初のうちはなるべく戦いを避けることが勝利への近道となります。

外交や威嚇によって相手を見方に引き入れたり、傘下に収めたりして戦わず国力を充実させるのがとく。築歴史的にいえばこの手を上手に使ったのが曹操です。

敵だったはずの黄巾の反乱軍を見方に付けて、主役に躍り出ました。 劣勢の兵力なら退却し、勝算がなければ戦わない。孫子は生き残るためになるべく戦いを避けようとしました。不敗の態勢を作れるかどうかは自軍の努力次第。勝機を見い出せるかどうかは、敵の態勢にかかっています。

短期の決戦に出て成功事例は有りますが、長期戦に持ち込んで成功した例はありません。 短期で勝てる相手とだけ戦う。

情報格差は力なり。

もし戦うという結論に至ったなら、ともかくそれを隠すこと。 こちらを小さく弱く見せる。 (孫子にはこちらを大きく強く見せるという抑止力的な内容が一切入っていません)戦争とは所詮だまし合いに過ぎません。戦争で国力が疲弊するのは、軍需物資を遠方まで輸送しなければならないからです。また、物価の上昇を招き、国力が底を着きます。

作戦は何よりも迅速を旨とする。攻撃して必ず成功するのは、敵の攻めていないところを攻めるからであり、先手を取って引きずり回す。

敵を分散させ、それを各個撃破する。どこから攻撃するかわからない場合、敵は兵力を分散せざるを得ません。国や軍隊にはここだけは触れられたくないという急所が存在します。国であれば首都。軍で言えば、兵站です。軍隊を一箇所に集中させていくと、急所を全て守り切れなくなります。 手薄になった急所を狙われると敵としては慌ててそこに救援に駆け付けざるを得ません。

「全体を守る」と「戦力を集中させる」というのは、どちらかを選ばなければ軍全体は成り立ちません。

敵と対峙する時は世紀の兵を利用し、敵を破る時は奇襲を採用する。これが一般的な戦いです。あらかじめ勝利する態勢を整えてから戦う者が勝利を収め、戦いを始めてから慌てて勝機を掴もうとする者は、敗北に追いやられます。

誰にでもそれとわかる様な勝ち方は、最善の勝利ではなく、世の中にもてはやされる様な勝ち方も最善の勝利とは言いがたい。古しの戦上手は、無理なく自然に勝ちました。ですから勝ってもその智謀は人目につかず、その勇敢さは人から称賛されることがありません。

用兵に長けた将軍は、敵が動かざるを得ない態勢を作り、有利なエサをまいて敵を誘い出し、精鋭を繰り出して、これを撃滅する。奇手を放たれたと感じるのは不意をつかれた時、正と奇の区別はなく、相手の意をかくか、否かにかかっています。

勝負は相手に疑問を抱かせた方が勝ち。常に裏をかいてくるのではないかという不安こそ疑心暗鬼の誘発剤です。 敵より先に戦場におもむいて相手を撃てば余裕をもって戦うことが出来、敵に遅れて到着すれば苦しい戦いを強いられる。

最も難しいのは勝利の条件を作り出すことです。わざと遠回りして敵を安心させ、敵よりも早く目的地に達する。まずはこちらの意図する決戦の地を相手にさとられない様にするのが重要です。

組織が一旦勢いに乗ってしまえば、1人1人をケアしなくとも十分に実力を発揮してくれます。は、どうすれば組織をそんな勢いに乗せられるのでしょうか?

兵士というものは、逃げ道のない状態に追い込まれると、一致団結し、必死になって戦うもの。 勢いは長続きしないので、盛り上がったタイミングで上手く敵と戦う。 逆に相手の士気が旺盛なうちは戦いを避け、士気が衰えた時を打たなければなりません。

誰でも自らの強みについては良く分かっていると思っていますが、たいていは間違って認識していて、自分で分かっているのはせいぜい弱みです。 しかし、何ごとかを成し遂げるのは強みによってのみ。先ず、己を知るを乗り越えられないと成果は出せません。

明君賢将が戦えば、必ず敵を破って成功を収めるのは、相手に先んじて敵情を探り出すからです。戦争は何年も続きますが、最後の勝利はたった一日で決します。 それなのに、金を惜しんで敵の情報を怠るのはバカげた事。

敵に攻撃をかけようとする時、先ず、敵の指揮官、側近、取り次ぎ、門番、従者などの姓名を調べ、問者に命じてその動静を探索させなければなりません。

そもそも戦略と戦術はどう違うのでしょうか?

戦略とは、戦闘力の運用 戦術とは、先頭の運用

山登りに例えると、頂上へのコース選びが戦略。途中の障害の乗り越え方が戦術。 この違いを認識しないと目先の目標に入れ込んでしまい、大きな目的を忘れてしまう危険があります。敵の最も重視している所を奪取すること。そうすれば思いのままに敵を振り回すことが出来ます。

ひたすら急所を突くことに専念する。 相手が崩れないことには戦いに勝てません。
A.相手の態勢を崩す技
B.とどめを指す技

この2つが必要となります。 相手の弱みをあなたの強みでたたく以外に勝利の道はありません。
昔から大局観が一番大切と言われます。その方向の中であなたも勝グセを付けて下さい。


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